軽井沢に子育て移住しました

軽井沢⇔東京での二拠点居住にチャレンジする新米パパのブログ

行くぜ!東北。「断熱賃貸オガールネスト・グッデイ視察編」

前回のオガールタウン視察編に続き、今回は日本の中ではまだ珍しい断熱賃貸住宅「オガールグッデイ」と「オガールネスト」の視察レポートです。

umatatsu.hatenablog.com

もともと軽井沢・御代田の移住者向けの賃貸住宅事情をどうにかしたいという思いから、エネルギーまちづくり塾、視察ツアーにつながっていますので、断熱賃貸住宅の今回のツアーのメインイベントではありました。

結果、Web上の記事や資料だけではわからない、設計や建物の工夫や知恵が詰まっており、相当、具体的なことも知ることができたと同時にこれはいよいよ断熱賃貸やらねばならないと勝手な使命感に駆られて帰って来ました。

  • なぜ日本の賃貸住宅環境は劣悪なのか?

ヨーロッパなどに比べると相当遅れていると言われている日本の住宅の断熱性能ですが、ここ数年、「断熱番長」のような熱意溢れる人たちの活動と気候変動問題のいよいよの深刻化によって「新築の戸建て住宅」については少しずつ、エネルギー効率の高いエコハウスという意識が世の中的には出て来たように思います。*まだまだとは思いますが。。

 一方で、賃貸住宅とはということかなり悲惨な状況で、わざわざ賃貸住宅に断熱にコストをかけようという物件はほとんど見当たらず、寒い、暑いは当たり前で、物件として選ばれやすいようにデザイン性は重視されても、目に見えず、価値を実感しづらい断熱性能や気密性、換気、暖房負荷まで重視するというものはおそらくなかったでしょう。

 これがなぜかという一般的に賃貸物件というのは「不動産投資」と出資者(オーナー)から捉えられているので、いかに建築にかかるイニシャルコストを下げながら、賃料も抑えて空室率を下げるというのが勝負の世界です。

よって、小さなコストに対して大きなリターンを得られるか?利回り市場主義、ROI(投資対収益)の最大化が目的になります。

そして光熱費のランニングコストは貸主負担なので、エネルギー効率など意識せずに貸主負担にコストを寄せてしまうことが、投資という数字だけの世界の表かで見たら正解なのです。(住民満足度を考えれば本来マイナスのはずなのですが。。)

なので不動産賃貸業というビジネス構造上、日本の賃貸住宅の多くは住居としての性能はどうしても低いのです。

ちなみに高気密・高断熱のエコハウス住宅が普及している北海道出身で実家暮らしだった若者が東京に出てき来て、あまりに賃貸の家が寒いので、実家に戻ってきたという笑えない話があるそうです。環境問題を考えた省エネルギー、住人の健康リスクを考えた時にこの日本の賃貸住宅事情は大きな問題です。

ヨーロッパはそもそもの意識や集合住宅含む住宅性能への規制が違うという前提はありますが、光熱費がオーナー負担というケースもあるらしく、オーナー側の経済メリットも働いていて、賃貸住宅のエコハウス化は当たりまえに進んでいるそうです。

そもそも断熱という観点でいうと個別の戸建て住宅で性能をあげていくよりも集合住宅まるっとやった方が、外皮性能をシェアできるの効率性がいいのです。

何より、断熱エコハウスの良さは住んでこそですので、賃貸住宅でその良さを実感することは住宅業界全体のエコハウス化としても大きな意味を持ちます。

  • 知恵と工夫が詰まった断熱賃貸賃貸「オガールグッデイ・ネスト」

そんな日本の賃貸住宅事情の中、紫波町にできた断熱賃貸住宅が、社員寮としてDINKS、単身向けに建てられた「オガール・ネスト」さらにはファミリー向けに建てられた「オガール・グッデイ」なのです。

今回はこの賃貸住宅を企画された「くらしすた不動産」さんに案内いただきました。

もとともオガールプロジェクトの中心人物、岡崎建設の岡崎さんが、地域に住みたい賃貸住宅がないというところからはじまってできたのが、こちらのDINKS、単身者向けのオガール・ネストです。

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外観もかっこいいオガールネスト

規模としてはそこまで大きくなく、ペアルーム4室と単身向け1部屋、そして共有のシェアリビングが1部屋の合計6室です。周辺家賃より2万円ほど高いようですが、情報公開前にすぐに希望者で満室になったそうです。

特徴のひとつは何といっても断熱性能で、オガールタウンの事例を参考に基準を決めていて、年間暖房負荷、気密性(C値)、外皮性能(Q値、Ua値)はかなり数値を出しており、さらには燃費計算上の光熱費は通常の住宅の約半分になっています。

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驚くべきことはこれだけの性能を出しながらも建設コストは通常の集合住宅並みに抑えられており、シンプルな間取り設計、床や壁の建材選定の使い分け、作り付け家具の積極利用など、様々な工夫が見られます。 

もうひとつの特徴が住人が自由に使えるシェアルームです。実際に見せていただいたのはネストのシェアルームだったのですが、住人同士の交流の場になったり、今回のような視察者を受け入れる場所になっているとのことです。洗濯機やキッチンもあり、こういう場所があったら付加価値になるだろうなと感じました。

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シェアルームは断熱賃貸のモデルルーム的な役割をはたしている

 

全体的にデザインがシンプルながらモダンでかっこよく純粋に「住んでみたいな」と思える物件だったのがすごく重要だと思います。ターゲットになる世代の好みや普遍的な好みをよく捉えているなと感じました。賃貸住宅である以上、断熱性能だけでなくデザイン性もすごく大事ですね。

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目に見えない断熱と、目に見えるデザイン性の両立が重要

続いてはファミリー向けの「オガールグッデイ」です。こちらは「オガール・ネスト」が出来た後に子育てファミリー向けの賃貸住宅がないという要望から出来た大きめの2棟の賃貸住宅ですが部屋数自体は4室です。なんとこちらは企画段階で不動産屋さん、設計士さんなど関係者自身が住むことを決められてあっという間に満室になってしまったとのこと苦笑 
こちらは外観だけかなと思ったのですが、何と日曜日だったにも関わらず、実際に暮らしているお部屋の中まで見せていただきました。ありがたい!まだ、冬越しはこれからとのことでしたが、大変住み心地いいそうです。

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2棟のファミリー向け賃貸オガールグッデイ

グッデイ もネスト同様、断熱、気密数値をハイレベルでクリアしており通常の賃貸住宅ではありえない温熱環境スペックを誇っています。実際、案内いただきましたが、断熱材の厚さや日射取得を重視した間取り設計、窓サッシも当然いいものを採用していました。またダクトレスの換気システムでメンテナンスコストを抑えていたのも大きいです。また、見せる収納や玄関や階段の建材など抑えるところは抑えているため、ファミリー向けでも十分なスペースを確保しながらも家賃はそこまで割高ではなく、一定程度の利回りを確保しているそうです。

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賃貸住宅とは思えないクオリティ

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階段部分が縁側的になっていて日射取得しやすくなっている

やはり賃貸需要は紫波町でも高まっているようでさらに増築を計画しているそうです。ちなみにこの賃貸住宅周辺の分譲地もくらしすた不動産さんが前回の記事に出てきたオガールタウンを参考に同様の断熱基準建築条件分譲地も手掛けているのですが、全て売約済とのことでした。

今後は断熱賃貸に住んでその良さを実感した人が断熱性能に拘ったエコハウスを建てるという好循環が今後はますます発生していくことが予想されます。 

 

ということで断熱賃貸住宅はその考え方、実際のコストコトロールの仕方など大変勉強になりました。そして岩手と同程度かそれ以上の寒冷地である軽井沢・御代田エリアはなおさらポテンシャルがあるように思います。

最初から土地を買って戸建て住宅を建設するという大きなリスクを取らなくても、さらには寒さになれていない移住者が高額な光熱費を払わず、健康に暮らすことができる断熱賃貸住宅が必要だと思いますし、実際にすごく求められていると感じています。

また、最近は特に御代田側で、地主さんへの業者からの強引な営業活動が背景にあると思いますが、大型太陽光パネル、規格住宅アパートが乱立して来ていて景観上どうなんだろうという開発が進んでしまっている雰囲気です。

オガールのように多少コストがかかっても断熱性能とデザイン勢が両立した住宅が増えていけば景観としても良くなりますし、環境にも優しく、何より地域としての価値が上がり地主さんに還元されるものが多くなるはずです。

そのためにも断熱住宅の素晴らしさを生活を通じて実感できる賃貸住宅が必要です。ということで今回の視察も受けて、まずは個人で取れるリスクの範囲内で小さくですが事例作りを行うべく、徐々に動き出しているので、詳細はまた共有させていただければと思います!

それでは、また!